pHの重要性!水質の変化を見逃しません

冷水の定期水質検査を行ったところ、pH値が徐々に低くなっていることが分かった。

詳細分析を行った結果、フッ素が検出されました。
現場で機器点検を実施し、銅管チューブからの冷媒ガス漏れであることが判明しました。

事例詳細

状況

ある現場で冷水の定期水質検査を行ったところ、pH値が「7.5→7.0→6.5」と一定期間で低くなっていることが判明しました。

作業内容

イオンクロマトグラフによる詳細分析の結果、フッ素が検出されました。
現場で機器点検を行ったところ冷凍機内銅管チューブからの冷媒ガスが漏れていることが判明しました。

解決のポイント

水質検査においてpHや電気伝導率は水質を見る基本であり、重要な項目です。大幅な増減が見られたら、他の項目においても測定値に変動がおきているか確認する必要があります。

今回は混入した冷媒ガスの成分のフッ素によりpH値に変動が起きました。

水質検査では基準値内かどうかだけを見るのではなく、年間を通して定期検査を行うことでトラブルの早期発見に繋がります。

 

pHとは

pH (ピーエイチ)とは?

水にも固有の性質があり、pH は水の性質を知るための一つの目安として使われます。
化学的にいうと、pH は溶液中の水素イオン濃度 〔H+〕の量を表しています。

 

溶液中の水分子とオキソニウムイオン・水酸化物イオンは、同じ量存在していて、一定の温度では平衡状態で常に移動している。

 

pHの数値

本来、温度が一定のとき水は[H+] と[OH-] が同じ量で存在しています。 pHは一般的に数値が1から14(水素イオン濃度として 10^-1mol/L ~ 10^-14mol/L)であり、この範囲以外ではあまり使われません。pH値が7より小さいとき酸性を示し、7より大きいときアルカリ性を示します。  ※10^-1=0.1

 

日常生活ではどんなものがあるでしょう?


上記のもの以外でも、酢・炭酸飲料などは酸性、 アンモニア水などはアルカリ性を示します。
口にすると酸性はすっぱく、アルカリ性は苦く感じ、またアルカリ性は手で触るとヌルヌルした感覚があります。

 

設備用水の水質基準では?

スケール傾向か腐食傾向かを判定する指標になります。一般にpHが高くなるとスケール析出傾向になります。

飲料水の水質基準では?

飲料水水質基準では、pH 5.8~8.6(弱酸~弱アルカリ)と定められています。広範囲だなと感じるかもしれませんが、一言に水といってもさまざまな環境におかれているので、pH値も影響を受けます。
例えば、井戸水においては主に弱酸性を示し、藻の生えた貯水池においてはアルカリ性を示します。浄水場から供給される飲料水が水質基準を超えることはまずありませんが、消毒剤の次亜塩素酸ナトリウムの影響により、水質基準の中で若干高めです。
基準値以下(pH 5.8> )のときは塩素剤、基準値以上(pH 8.6< )のときは、次亜塩素酸ナトリウムの過剰添加が考えられます。
pH値の水質基準は人体に対する影響に関するものではなく、浄水処理の方法や設備などの腐食という観点から設定されています。

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