「給水Yストレーナーに付着異物がありこの白色の異物が何か調べて対策をとりたい」とのご相談がありました。
3つの分析方法を組み合わせ異物を特定。異物を特定できれば有効な対策をとることができます。
事例詳細
状況
「水道水が白く濁るので、給水Yストレーナーを確認すると白色の付着異物があり、これが何か調べて欲しい」とのご相談がありました。
作業内容
SEM-EDXによる拡大観察及び元素分析、FT-IRによる有機物の分子結合の推測、XRDによる原子の並び方(結晶構造)を調べ、ナイロンと酸化チタンの混合物と判明。無事原因物質の特定に至りました。
解決のポイント
今回は3つの分析機器を使用して異物の正体を突き止めました
①SEM-EDXにて白色異物の元素分析を行いました。
≪分析結果≫
白色異物の主成分:炭素、酸素、チタン
炭素の割合が多いことから有機物の可能性が高いと考えられます。
②FT-IRにて有機物の同定検査を行いました。
≪分析結果≫
白色異物の赤外吸収波形はポリアミドの波形と一致していました。
ポリアミドとして有名な樹脂はナイロン樹脂です。ナイロンはストッキングなどの繊維に使用され、その他にも様々な製品があります。
③SEM-EDXで検出されたチタンについて、XRDでX線回折分析を行ない、無機物の同定試験を行いました。
≪分析結果≫
X線回折チャートのデータベースと比較すると白色異物は酸化チタンと非常に良く一致している事が分かりました。
3つの分析結果より
白色異物は“ナイロンと酸化チタンの混合物”と推定しました。
後に、現場で使用しているYストレーナーが白色顔料(酸化チタン)を含有したナイロン製であることが分かり、無事原因物質の特定に至りました。どうやら、ナイロン樹脂が何らかの要因で劣化して白色異物となって出てきていたようです。
今回は、3つの分析装置(SEM-EDX、FT-IR、XRD)が大活躍しました。
◆SEM-EDX・・拡大観察及び元素分析
◆FT-IR・・・有機物の分子結合の推測、
◆XRD・・・・原子の並び方(結晶構造) が分かります。
この3つの角度からの分析でなければ、今回の結果には至りませんでした。
ちなみに、XRDは当社ではアスベスト分析で主に使用していますが、今回のように場合によって異物分析にも大きな威力を発揮します。今回物質の正体をご報告し、お客様が対策をとられる際に必要な情報をご提供することができました。