最近ウォーターサーバーの水から溶剤臭がするので、水質に問題がないか調べて欲しい
水質検査の結果、接着剤の成分が検出されました。
給水管の水の入替作業を数回行い、その都度水質検査を行って接着剤の成分濃度が減少していることを確認しました。
事例詳細
状況
お客様より、最近ウォーターサーバーの水から溶剤臭がするので、水質検査をして欲しいと依頼を受けました。
またこの現象が発生する前に、現場ビルで給水配管の更新工事を行っていたことが分かりました。
作業内容
分析機器HS-GC-MSを使用して揮発性有機化合物の定性試験を行ないました。
その結果、ウォーターサーバーの水から接着剤の成分が検出されました。
給水配管内の接着剤の成分を洗い流すため、複数回給水配管内の水の入替作業を行い、その都度水質検査を行って接着剤の成分濃度が減少していることを確認しました。
解決のポイント
給水配管の更新工事では塩化ビニル配管接続用接着剤を使用しており、それが溶出したのではないかと考えました。そこでこの接着剤に含まれる3つの成分をA,B,Cとして、ウォーターサーバーの水から検出されるかを調査しました。分析機器HS-GC-MSを使用して揮発性有機化合物の定性試験を行ないました。
【接着剤の成分(SDS)】
A:メチルエチルケトン 40%~49% B:テトラヒドロフラン 10%~20% C:シクロヘキサノン 20%~30%
≪分析結果≫
上:接着剤 A,B,Cが検出
中:臭いがする水 A,B,Cが検出
下:普通の水道水 不検出
上記の結果から塩化ビニル配管用接着剤の成分が水に溶出したため、ウォーターサーバー水に溶剤臭が発生したのではないかと推測されます。
給水配管内の接着剤の成分を洗い流すため、給水配管内の水の入替作業を行いました。その都度、水質検査を行い接着剤の成分A,B,Cの波形の変化を確認しました。
水の入替作業を行う度に接着剤の成分A,B,Cは減少し、4回目には接着剤の成分は検出されませんでした。ウォーターサーバーの水の溶剤臭もなくなりました。
本来、この配管用接着剤は給水配管に使用をしても問題はないのですが、接着剤の乾燥が不十分であったため、今回は配管内の水に成分が溶出してしまったと考えられます。